三日坊主にならない方法|続かない理由と、研究でわかっている5つのコツ
三日坊主は「意志の弱さ」だけのせいではない
三日坊主は、始めたことが長く続かず、すぐにやめてしまうことのたとえです。勉強、運動、ダイエット、日記。張り切って始めたのに、数日で手が止まってしまう。多くの人に覚えがあるはずです。
そのたびに「自分は意志が弱い」と考えてしまいがちですが、習慣の研究を見ていくと、続かない理由はもう少し具体的に分けられます。この記事では、研究でわかっていることを確かめながら、三日坊主にならないための準備と、やめかけたときの戻り方を整理します。
なぜ三日で止まってしまうのか
1. 習慣になるまでには、ふつう数週間から数か月かかる
Lally ら(2010)は、96人に「朝食のあとに」のような決まった場面で、毎日1つの行動を12週間続けてもらい、考えなくてもできる度合い(自動性)を毎日測りました。分析できた82人のうち、頭打ちに近づくまでにかかった日数は18日から254日と、人によって大きく違いました。
ジムの利用記録を機械学習で分析した Buyalskaya ら(2023)も、ジムに通う習慣ができるまでにはふつう数か月かかると報告しています(病院での手洗いは数週間でした)。
始めて3日の時点では、まだ「考えなくてもできる」状態からは遠いのがふつうです。この時期にやる気が下がるのは、珍しいことではありません。日数の研究は習慣化にかかる日数は?にくわしくまとめました。
2. 1日抜けたことを「失敗」と受け取ってしまう
三日坊主のきっかけになりやすいのが、1日できなかった日です。
先ほどの Lally ら(2010)の研究では、1回やらなかったことは、習慣ができていく過程を実質的に損なっていませんでした。一方で、Soman と Cheema(2004)の2つの実験では、目標を破ったことを失敗として受け取ると、その後の成績が、目標を立てなかった人より下がることがあると示されています。
つまり、問題になりやすいのは抜けた1日そのものより、「もうだめだ」と受け取ってやめてしまうことのほうです。くわしくは1日サボったら習慣化はやり直し?にまとめました。
3. 始めるときに「大きく」しすぎる
Kaushal と Rhodes(2015)は、新しくジムに入会した111人を12週間追いかけました。運動の習慣ができるための最低ラインは、週4回以上を6週間でした。習慣の伸びを予測したのは、次の4つです。
| 要因 | 習慣の伸びとの関係(β) |
|---|---|
| 一貫性(同じように繰り返せたか) | .21 |
| 行動が複雑でないこと | .19 |
| 環境 | .17 |
| 楽しいと感じるか | .13 |
張り切って「毎日1時間」のように大きく始めると、週4回を保つのが難しくなります。運動に限った観察研究ではありますが、「続けられる大きさ」にしておく理由にはなります。
4. 「いつやるか」が決まっていない
「時間があるときにやろう」と考えていると、時間がある日はなかなか来ません。「〇〇したら、△△する」と前もって決めておくことを、if-then 計画(実行意図)と呼びます。
身体活動についての26の研究をまとめた Bélanger-Gravel ら(2013)では、if-then 計画の効果は介入の直後で 0.31、その後の追跡で 0.24と、小さめから中くらいでした。そして、うまくいかないときの対処まで計画に含めた場合に、効果が大きかったと報告しています。
三日坊主にならない5つのコツ
ここまでの研究をもとに、始める前に決めておくことを5つにまとめます。
コツ1:きっかけを「〇〇したあとに」で決める
「毎朝7時に」より、「朝ごはんのあとに」「歯を磨いたあとに」のように、毎日すでにしている行動のあとに置きます。時刻を決める方法と比べた研究は結論が割れていますが、どちらにしても計画どおりに繰り返せることが大事だというのが、今わかっていることです(きっかけで習慣を作る研究)。
コツ2:しんどい日のための「小さい版」を先に決めておく
「ストレッチ10分」なら「1種目だけ」、「単語を20個」なら「5個だけ」のように、調子が悪い日にもできる小さい版を決めておきます。行動が複雑でないことは習慣の伸びを予測する要因のひとつで、小さい版があれば、週4回の頻度を保ちやすくなります。
ただし、「小さく始めること」だけを取り出して効果を確かめた厳密な試験は見当たりません(習慣は「小さく」始めたほうがいい?)。万能の方法ではなく、続ける回数を保つための工夫と考えるのがよさそうです。
コツ3:「できないときの作戦」を決めておく
「雨の日は室内で5分」「残業の日は帰宅後に1ページだけ」のように、うまくいかない場面と、そのときの代わりの行動を先に決めておきます。上の Bélanger-Gravel ら(2013)で、効果が大きくなった条件です。
コツ4:お休みの回数を、上限つきで先に決めておく
「週1回までは休んでいい」のように、休める回数を最初から決めておく方法です。Sharif と Shu(2017)は、使うと少し損をする「緊急の予備」を組み込んだ目標を調べ、予備がある目標のほうが選ばれやすく、粘り強く続けられることを示しました。人が粘ったのは、その予備を使いたくないからでした。
ここで大事なのは上限があることです。いつでも自由に休めるなら、それはもう予備ではありません。
コツ5:やったら、その日のうちに記録する
Harkin ら(2016)は、進み具合を確かめるよう促す介入を調べた138の研究(のべ19,951人)をまとめ、目標の達成が高まる(効果量 d+ = 0.40)と報告しています。効果が大きかったのは、記録として書き留めた場合と、人に知らせたり公表したりした場合でした。
ただし、この分析が見ているのは目標を達成できたかどうかで、習慣になったかどうかではありません。記録のつけ方はハビットトラッカーとは?にまとめました。
勉強・運動・ダイエットでの決め方の例
勉強・運動・ダイエットのどれでも、考え方は同じで、決めておくことも同じ4つです。以下は書き方の例です。
| 続けたいこと | きっかけ | やること | 小さい版 | できないときの作戦 |
|---|---|---|---|---|
| 勉強 | 夕食のあとに | 単語を20個 | 単語を5個 | 帰りが遅い日は、お風呂のあとに5個 |
| 運動 | 帰宅したあとに | ストレッチ10分 | 1種目だけ | 外出した日は、寝る前に1種目 |
| ダイエット(食事の記録) | 朝ごはんのあとに | 体重と朝ごはんを記録 | 体重だけ記録 | 朝に測れなかった日は、帰宅したあとに |
「毎日」にするか「週4回」にするかも、最初に決めておきます。毎日にする場合も、お休みの回数を上限つきで入れておくと、1日抜けた日に「失敗」になりにくくなります。
4日目にやめそうになったら
それでも止まりかけたときは、次の順で見直します。
- 抜けた日は、そのままにしておく。1回の抜けは、習慣のでき方を実質的に損なっていませんでした(Lally ら、2010)
- 次の予定の日に、小さい版だけやる。戻ることを優先して、ふだんの量に戻すのはそのあとで
- 同じ場面で何度も抜けていないかを見る。抜ける場面が同じなら、きっかけか作戦を変えるところです
- 長く休むなら、再開する日を決めておく。旅行や体調不良のときは、いつ戻るかを先に決めておきます
なお、Lally ら(2010)で「影響は小さい」と言えるのは1回の抜けまでです。1週間を超えるような中断の影響は、この研究ではわかっていません。
研究でわかっていないこと
- ここで引いた研究の多くは、運動や食事など特定の行動で、参加者も限られています。勉強や仕事の習慣にそのまま当てはまるかは確かめられていません
- 5つのコツを組み合わせたときに、どれくらい三日坊主が減るかを確かめた研究は、たどれた範囲では見つかりませんでした
- 習慣になるまでの日数は人によって大きく違い、「何日続ければ大丈夫」と言える数字はありません
HabitTap では
HabitTap は、iPhone・iPad で使える習慣トラッカーのアプリです。この記事の5つのコツを、習慣を作るときの項目と記録の仕組みにしています。
- きっかけから作る:習慣は「きっかけ(何の後にやる?)」と「やること」で作ります。きっかけは「起きた後」「歯を磨いた後」「朝ごはんの後」「帰宅した後」「お風呂の後」「夕食の後」から選ぶか、自分で書けます
- ミニ版と、できない時の作戦:「しんどい日は…」の小さい版(ミニ版)と、「できない時は…」の作戦を、習慣ごとに登録できます
- 記録は3つ:「できた」「ミニ版」「お休み」。「できなかった」という記録はありません。まだ記録していない習慣を、まとめてミニ版で記録する「今日は軽めにする」もあります
- お休みは上限つき:新しく作る習慣は「毎日・お休み週1回」で始まり、頻度とお休みはあとから変えられます。お休みの日は、できなかった日に数えません。長く休むときは「一時停止」ができ、その間は通知が届かず、記録も途切れません
- おかえり:毎日・曜日指定の習慣で、最後にできた日から予定の日が2日以上空いたあとに開くと、「おかえりなさい」と出て、残りをミニ版やお休みにして再開できます
記録は端末の中に保存され、アカウントの登録は要りません。
まとめ
- 習慣になるまでの日数は人によって18日から254日と大きく違う。3日でやる気が下がるのは珍しくない
- 1回の抜けは習慣のでき方を実質的に損なわない。危ないのは失敗と受け取ってやめること
- 始める前に、きっかけ・小さい版・できないときの作戦・お休みの上限を決めておく
- やったら、その日のうちに記録する
- 止まりかけたら、次の予定の日に小さい版で戻る
出典
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40, 998–1009. 10.1002/ejsp.674
- Buyalskaya, A., Ho, H., Milkman, K. L., Li, X., Duckworth, A. L., & Camerer, C. (2023). What can machine learning teach us about habit formation? Evidence from exercise and hygiene. PNAS, 120(17), e2216115120. 10.1073/pnas.2216115120
- Soman, D., & Cheema, A. (2004). When Goals Are Counterproductive: The Effects of Violation of a Behavioral Goal on Subsequent Performance. Journal of Consumer Research, 31(1), 52–62. 10.1086/383423
- Kaushal, N., & Rhodes, R. E. (2015). Exercise habit formation in new gym members: a longitudinal study. Journal of Behavioral Medicine, 38, 652–663. 10.1007/s10865-015-9640-7
- Bélanger-Gravel, A., Godin, G., & Amireault, S. (2013). A meta-analytic review of the effect of implementation intentions on physical activity. Health Psychology Review, 7(1), 23–54. 10.1080/17437199.2011.560095
- Sharif, M. A., & Shu, S. B. (2017). The Benefits of Emergency Reserves: Greater Preference and Persistence for Goals That Have Slack with a Cost. Journal of Marketing Research, 54(3), 495–509. 10.1509/jmr.15.0231
- Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. 10.1037/bul0000025
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