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HabitTap

朝の習慣は続きやすい?実施する時間帯と定着をめぐる研究を確かめる

「朝にやると続く」は、どこまで確かめられているか

習慣の助言でよく聞くのが「朝にやりなさい」です。複数の研究で朝が有利という結果は出ています。ただ、研究の中身を見ると、根拠はそれほど強くありません。

この記事では、朝が有利だと示した研究と、そう単純ではないと示した研究の両方を並べます。結論を先に言うと、朝は最初に試す価値のある候補だが、「朝にすべき」と言えるほどの根拠はない、というあたりが妥当なところです。

朝が有利という結果は、複数ある

20研究のメタ分析

Singh ら(2024)が習慣形成の研究20本(のべ2601人)をまとめたメタ分析では、朝に実施する習慣自分で選んだ習慣のほうが、習慣が強くなる傾向が示されました。

ただし、このレビューに含まれた研究のうち11本はバイアスのリスクが高いと評価されており、形成期間を報告していたのは4研究だけです。レビュー全体の質としては、慎重に扱う必要があります。

瞑想アプリ 14,879人の観察研究

Berardi ら(2023)は、市販の瞑想アプリの利用データ(n=14,879)を分析しました。

  • 朝に実施することが多い人ほど、短期・長期とも継続がよい
  • 深夜に実施する人は、その逆

観察研究なので、因果関係はわかりません。「朝にやったから続いた」のか、「もともと続けやすい生活の人が朝にやっていた」のかは、このデータからは区別できません。

起床後 vs 就寝前のランダム化比較試験

Fournier ら(2017)は、学生48人を対象に90日間の試験を行い、起床後に行う群のほうが、就寝前に行う群より早く自動化したと報告しました。

  • 起床後群:105.95日
  • 就寝前群:154.01日

この数字は、方向としてははっきりしています。ただし、標本は48人と小さく、しかもこれらの日数は測定値ではなく**外挿(曲線から計算で伸ばした値)**です。「105日 vs 154日」を確定した事実として読むべきではありません。

アンカーの研究でも、朝が多かった

きっかけ(アンカー)を使った瞑想アプリの試験(Stecher ら, 2021)でも、アンカーをよく守れた人ほど継続しており、そうした人のほぼ全員が朝のアンカーを選んでいたという観察が報告されています。参加者は白人82%・女性76%と偏りがあります。

それでも「朝にすべき」とは言えない理由

同じ研究が、柔軟さの利点も示している

先ほどの Berardi ら(2023)には、続きがあります。実施する時刻の一貫性は、短期の継続にはプラスだったのに、長期の利用では、時刻の一貫性が低い(柔軟な)人のほうが長く使い続けていたというのです。

同じ研究の中に、「朝が有利」と「柔軟なほうが長続き」が同居しています。時間を固定することが、長い目で見るとかえって脆さになる可能性がある、と読めます。

時間枠を厳しくすると、行動が減った研究

Beshears ら(2021)のフィールド実験は、この懸念を補強します。毎日決めた2時間の枠の中でだけ報酬が出る条件は、いつ行っても報酬が出る条件より、ジムへの来訪が少なくなりました。しかも、報酬が終わったあとも同じ傾向でした。

この研究は金銭的な報酬が前提なので、そのまま一般化はできません。ただ「時間を固定させると、かえってやらなくなることがある」という方向は覚えておいてよさそうです。

全員に当てはまるとは限らない

夜型の人、交代勤務の人、朝に家族の世話がある人にとって、「朝にやる」は現実的でないことがあります。上に挙げた研究は、そうした人たちを対象に検証したものではありません。

時刻より、文脈の安定のほうが本筋かもしれない

習慣形成の中心的な知見は、時刻そのものより同じ文脈で繰り返すことにあります。

Lally ら(2010)が示したのも、Judah ら(2018、118人・16週間の単群縦断研究)が示したのも、そこです。後者では、楽しさや内発的な動機づけがあると1回の反復あたりの習慣の伸びが大きく、そこには文脈の安定性が媒介していることが報告されています(単群の探索的研究です)。

「朝」が効いているように見えるのは、朝が生活のなかでいちばん文脈の安定した時間帯だからかもしれません。だとすれば、自分にとって安定している時間帯なら、朝でなくてもかまわない、という読み方ができます。ただしこれは研究が直接検証したことではなく、解釈です。

きっかけの作り方そのものについては、「毎朝7時に」より「朝食のあとに」──きっかけで習慣を作る研究にまとめました。

実際にどうするか

  1. まず朝で試してみる。候補として有望なのは確か
  2. 合わなければ、自分にとって毎日確実に訪れる場面に移す。夕食のあと、帰宅直後、寝る支度のあと
  3. 時刻を厳密に固定しない。「7時00分」より「朝食のあと」のほうが、生活のずれを吸収できる
  4. 時間帯より、同じきっかけで繰り返せているかを基準にする

まとめ

  • 朝が有利という結果は、メタ分析・大規模な観察研究・小規模な試験の複数で出ている
  • ただし、観察研究(因果は不明)、48人の小標本、外挿値と、根拠は弱い
  • 同じ観察研究は、長期には柔軟な人のほうが続いたとも報告している
  • 時間枠を厳しくすると、かえって行動が減った実験もある(金銭報酬が前提)
  • 本筋は時刻ではなく、同じ文脈で繰り返せること

HabitTap では

HabitTap は、朝のきっかけをプリセットの上のほうに並べます(根拠が弱いことは承知のうえで、試す価値のある候補として)。一方で、厳しい時間枠は課しません。きっかけどおりにできた日も、別のタイミングでできた日も、同じように「できた」として記録します。

詳しくは HabitTap のページ をご覧ください。

出典

  • Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to Form a Habit: A Systematic Review and Meta-Analysis. Healthcare, 12(23), 2488. 10.3390/healthcare12232488
  • Berardi, V., Fowers, R., Rubin, G., & Stecher, C. (2023). Time of Day Preferences and Daily Temporal Consistency for Predicting the Sustained Use of a Commercial Meditation App. Journal of Medical Internet Research, 25, e42482. 10.2196/42482
  • Fournier, M., et al. (2017). Effects of circadian cortisol on the development of a health habit. Health Psychology, 36(11), 1059–1064. 10.1037/hea0000510
  • Stecher, C., Sullivan, M., & Huberty, J. (2021). Using Personalized Anchors to Establish Routine Meditation Practice With a Mobile App: Randomized Controlled Trial. JMIR mHealth and uHealth, 9(12), e32794. 10.2196/32794
  • Beshears, J., Lee, H. N., Milkman, K. L., Mislavsky, R., & Wisdom, J. (2021). Creating Exercise Habits Using Incentives: The Trade-off Between Flexibility and Routinization. Management Science, 67(7), 4139–4171. 10.1287/mnsc.2020.3706
  • Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40, 998–1009. 10.1002/ejsp.674
  • Judah, G., Gardner, B., Kenward, M. G., DeStavola, B., & Aunger, R. (2018). Exploratory study of the impact of perceived reward on habit formation. BMC Psychology, 6, 62. 10.1186/s40359-018-0270-z

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